【最愛婚シリーズ】俺に堕ちろ~俺様社長の極甘な溺愛包囲網
「赤城さん、お久しぶりです」
「ああ、お前の顔なんか二度と見たくなかったがな。どの面さげて俺たちの前に現れた」
ああ……これは、一筋縄ではいかなさそう。
初っぱなからこんなにけんか腰だなんて、話し合いができるわけない。
「お兄ちゃん、ちょっと落ち着いて」
「ひより、お前はだまってろ。お兄ちゃんがこいつと話をしているんだっ」
いつも口うるさいけれど、わたしの話は聞いてくれた。
そんな兄の剣幕にわたしは黙り込んでしまう。
心配になって駿也を見つめると、彼は強い眼差しをわたしに向けて、静かにうなずいた。
「心配しなくていい。ちゃんとお話するいい機会だから」
兄は駿也がわたしと話をしたのが気に入らないらしく、背中にわたしを隠してしまう。
「話があるなら、さっさとしろ」
兄の威圧的な態度にも、駿也は落ち着いた様子で堂々としている。
「赤城さん、ご挨拶が遅れまして申し訳ありません。
本来ならば最初にご挨拶へ伺うべきでした。
ひよりさんとまたお付き合いさせていただくことになりました」
「はぁ? なに言ってる、ひより本当か?」
振り返った兄に、うなずく。
「誰がそんなこと許可した?」
「許可って、わたしもう大人なんだから、誰の許可も――」
「こいつはダメだ。こいつだけは絶対ダメだ」
「ちょ、ちょっとお兄ちゃん?」
公衆の面前で兄が大声で叫ぶ。驚いたわたしはそこから言葉が出てこない。