【最愛婚シリーズ】俺に堕ちろ~俺様社長の極甘な溺愛包囲網
「今日は、ひよりさんとの結婚を許していただきたく、ご挨拶に参りました」

「しゅ、駿也」

「な、なんだと」

「あら、素敵」

戸惑うわたし、立ち上がってわなわな震える兄、そして自分がプロポーズされたかのように、喜ぶ母。

三者三様の反応を予想していたのか、駿也自身は落ち着いている。

「これまで色々とご迷惑をおかけしたこと、本当に申し訳なく思っています。
それにも関わらず、彼女との結婚の申し出も図々しいと思われても仕方ありません。
ですが誰に邪魔されようとも、非難されようとも、ひよりさんと一緒になりたいという気持ちは変りません」

彼の目を見ていればわかる。嘘偽りない今の気持ち。

大切にされていることが伝わってきて、思わず目頭が熱くなる。

しかし兄は難しい顔をして、駿也を睨んだままだ。

「いつもいつも、勝手なことばかり。おふくろもなんとか言ってやってくれ。
ひよりはこいつに――」

「あら、いいじゃないの。別に」

「はぁ?」

兄は母が完全に自分の味方だと思っていたのか、当てが外れて素っ頓狂な声を上げた。

「何、言ってるんだ。おふくろにも話をしただろう。こいつの家族が俺たちに何をしたのか。忘れたのか?」

「やだ、もう。母さんまだボケてないわよ、いやねぇ。この子ってばどうしてこうなのかしら」

母は駿也に同意を求めるように顔を向けた。
< 120 / 130 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop