【最愛婚シリーズ】俺に堕ちろ~俺様社長の極甘な溺愛包囲網
今年は秋が来るのが少し早いような気がする。

マンションの来客用駐車場で車に乗る駿也を見送っていた。

運転席のドアの前に立つ彼の隣で、疑問に思っていたことを聞いた。

「そうだ、いつの間に母と連絡を取っていたの?」

「ちょっと前にな。あ、そうだ。これお母さんに渡しておいてくれ」

渡されたのは白い封筒だ。

中身を見ると若手人気演歌歌手のコンサートのチケットが入っていた。

なにを隠そう母が大ファンなのだ。コンサート前になると、うちわをキンキラにデコレーションして何日も前から準備をしている。

「これ、なかなか取れないんでしょ? どうしたの?」

「企業秘密。お母さんへの賄賂だよ」

「わ、賄賂って……」

「俺って、使えるものは何でも使う主義だから。欲しいものがあったら、全力で行く。覚えておくといい」

「……もう、お手柔らかにお願いします」

おどけた言ったわたしの頬に、駿也が窓から乗り出してキスをした。

その瞬間――!
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