【最愛婚シリーズ】俺に堕ちろ~俺様社長の極甘な溺愛包囲網
エレベーターでお店のあった六階まで上ったが、すでにその店は別の店に変ってしまっていた。
四年の年月が経ってしまっている。
移り変わりの激しい時代なので仕方がないとはいえ、少しさみしい。
「こっち。来て」
手を引かれて向かった先は、あの日駿也がうずくまって咳き込んでいた非常階段。
「ここで俺たち、初めてまともに話をしたんだ。覚えてるか?」
「うん。たしかあのときすごく調子が悪いのに、駿也ってば他の人に気がつかれないように、平気な顔して……で、ここでひとりでつらそうな顔してたんだよね」
「ああ。あのとき、他の誰も俺の異変に気がつかなかったのに、ひよりは気がついてくれた」
たしかにそうだった。あの日も駿也はたくさんの人に囲まれて話をしていた。
その中の誰も駿也の体調不良には気がつかなかった。
「正直、すげーおせっかいな奴って思った」
「それ、ひどいよ」
わたしは隣にいる駿也の腕をパチンと叩いた。
駿也は気にする様子もなくまっすぐ前を見たまま口元を緩ませた。
「でもあのあと、体調の悪い俺の代わりにビールを一気飲みしただろう? あのときのひよりを見て、俺間違いなく恋に落ちたんだと思う」
「え……そこ? なんかヤダ。もっとロマンチックなきっかけがいい」
わがままと言われようと、ビールを煽る姿を好きになったと言われて喜ぶ女子がいるだろうか。
四年の年月が経ってしまっている。
移り変わりの激しい時代なので仕方がないとはいえ、少しさみしい。
「こっち。来て」
手を引かれて向かった先は、あの日駿也がうずくまって咳き込んでいた非常階段。
「ここで俺たち、初めてまともに話をしたんだ。覚えてるか?」
「うん。たしかあのときすごく調子が悪いのに、駿也ってば他の人に気がつかれないように、平気な顔して……で、ここでひとりでつらそうな顔してたんだよね」
「ああ。あのとき、他の誰も俺の異変に気がつかなかったのに、ひよりは気がついてくれた」
たしかにそうだった。あの日も駿也はたくさんの人に囲まれて話をしていた。
その中の誰も駿也の体調不良には気がつかなかった。
「正直、すげーおせっかいな奴って思った」
「それ、ひどいよ」
わたしは隣にいる駿也の腕をパチンと叩いた。
駿也は気にする様子もなくまっすぐ前を見たまま口元を緩ませた。
「でもあのあと、体調の悪い俺の代わりにビールを一気飲みしただろう? あのときのひよりを見て、俺間違いなく恋に落ちたんだと思う」
「え……そこ? なんかヤダ。もっとロマンチックなきっかけがいい」
わがままと言われようと、ビールを煽る姿を好きになったと言われて喜ぶ女子がいるだろうか。