【最愛婚シリーズ】俺に堕ちろ~俺様社長の極甘な溺愛包囲網
「これって……まだ持ってたの?」
引き出しの中にぽつんとあったのは、駿也がわたしに告白をしてくれたときにアイスクリームのおまけでもらったキーホルダーだった。
クマのキーホルダーはあちこち色がはげてしまっていて、ずいぶんと年月が経ったのがわかる。その間彼はずっとこれを大切に持っていてくれたということだ。
わたしも捨てられなかった。
キーホルダーを見るたびに切なくなったけれど、それでも手放すことができなかった、駿也との思い出のキーホルダー。
駿也も同じ気持ちでいてくれたなんて……胸がキュンと締め付けられた。幸せで胸が熱い。
「ひより?」
名前を呼ばれて顔を上げた。書斎の入り口に駿也が立っていた。
「おかえり」
「ただいま。どうかしたのか?」
ぼーっとしているわたしを不思議に思ったのか、駿也が心配そうに歩いてきた。
そしてわたしが手にしているキーホルダーを見て笑った。