【最愛婚シリーズ】俺に堕ちろ~俺様社長の極甘な溺愛包囲網
「それで、話ってなんなの?」

彼の濡れたような黒い瞳に、心をとらわれてしまう前にさっさと話をつけてしまおう。

何が理由でわたしの前に現れたのか分からないけれど、この話が終わったらまた何もない……駿也のいない世界に戻ることができる。

「少し痩せた?」

駿也の手が伸びてきて、頬に軽く触れた。

避けようと思えば避けられたし、手を払いのけようとすればできた。

けれどわたしはそれを甘んじて受け入れてしまう。

弱い自分が嫌で一瞬奥歯をぐっと噛んだ後、口を開く。

「そう? 綺麗になったでしょう」

「あぁ」

「……っ」

わたしの知っている昔の駿也なら、こんなとき決して認めるなんてことは無かった。

思いもよらない反応に、戸惑ってしまい目が泳ぐ。

なんとかそれをごまかそうと、軽口を叩く。

「綺麗になったわたしを見て、惜しくなった? どう?」

そんなはずない――悲しいけれど自信を持ってそう言ったわたしの期待を駿也は見事に裏切った。

「ああ。俺の知らない誰かが、お前を綺麗にしたんだって思ったら、その男たち全員殴りに行きたい」

「えっ!?」

いったいどういうつもりなのっ!?

叫びそうになったけれど、ぐっと飲み込んだ。

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