【最愛婚シリーズ】俺に堕ちろ~俺様社長の極甘な溺愛包囲網
「な、何なのよぉ~」

熱くなった頬を押さえて、必死になって大通りに出る。

すると運良くすぐに空車のタクシーが通りかかった。

わたしはそれを止めて、慌てて飛び乗り自宅の住所を告げる。

すぐに走り出したタクシーから背後を確認すると、ポケットに手を入れた駿也がこちらをじっと見ていた。

それはまるで獲物を狙う肉食獣のようで……思わず身震いをしてしまった。

駿也の本気から逃げることができるのだろうか?

いや、そもそもさっきのことって、本気なのかな? でもなんで今さら? 

考えても考えても、答えなんて出ることはなかった。

ただわかっていることは、駿也がわたしの近くに戻ってきたということ。

そして彼はおそらく、これから先必ずわたしに会いにくるだろうこと。

何がどうなっているのかさっぱり分からない。

「はぁ」と魂が抜け出るほどの大きなため息をついた。

そのときバッグの中でずっとロッカーにいれていたキーホルダーがあるのが目に入った。

虫の知らせだったのかな……。

ふとそんなことを思いながら、このキーホルダーを駿也にもらったときのことを思い出した。
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