【最愛婚シリーズ】俺に堕ちろ~俺様社長の極甘な溺愛包囲網
第二章 元彼とわたし
第二章元彼とわたし
疲れ切ったわたしはやっと自宅に到着してガチャガチャと鍵を開けた。
しがない会社員のわたしに急なタクシー代の出費は痛かったけれど、今日は疲れ切っていてそれも必要経費なのだと思うことにした。
「ただいま~」
スリッパをひっかけてリビングに入る、自分の部屋へ直行しようとするとソファに座っていた人影が立ち上がった。
「遅いじゃないか。飲んできたのか?」
眉間に皺を寄せた兄が行く手を阻む。
リビングの掛け時計を確認すると時刻は二十二時になったばかり。
責められるほど遅い時間じゃない。
「そんなに遅くないじゃない。それにわたし二十五だよ? お酒くらい飲むよ」
「偉そうに言うな。歳が二十五だろうがなんだろうが、連絡のひとつも入れられないなら偉そうに言うな」
「なんで? 昨日の朝伝えたじゃない」
忘れるといけないと思って、昨日のうちに伝えた。間違いない。
わたしの兄、赤城倫太郎(あかぎりんたろう)はちょっと……いや、かなり面倒な人物なのだ。
いわゆる……シスコン。それも自他ともに認めているのだからますます厄介なのである。
ことの始まりはわたしが三歳のとき。
わたしのお守りをしていた八歳年上の倫太郎少年が目を離したすきに、怪我をしてしまった。
怪我の程度は大したことはなく、今となっては記憶も傷も残っていない。
けれど兄はそのことに必要以上に責任を感じてしまい、それからというもの元々大切にしていた妹を、輪を掛けて大切にするようになった。
そしてそれは父親の死後ますます顕著になり、そんじょそこらの頑固おやじよりもよほど手強い……はた迷惑な人物になってしまったのだ。
深いため息をついたわたしに、兄が仏頂面のまま反論する。
疲れ切ったわたしはやっと自宅に到着してガチャガチャと鍵を開けた。
しがない会社員のわたしに急なタクシー代の出費は痛かったけれど、今日は疲れ切っていてそれも必要経費なのだと思うことにした。
「ただいま~」
スリッパをひっかけてリビングに入る、自分の部屋へ直行しようとするとソファに座っていた人影が立ち上がった。
「遅いじゃないか。飲んできたのか?」
眉間に皺を寄せた兄が行く手を阻む。
リビングの掛け時計を確認すると時刻は二十二時になったばかり。
責められるほど遅い時間じゃない。
「そんなに遅くないじゃない。それにわたし二十五だよ? お酒くらい飲むよ」
「偉そうに言うな。歳が二十五だろうがなんだろうが、連絡のひとつも入れられないなら偉そうに言うな」
「なんで? 昨日の朝伝えたじゃない」
忘れるといけないと思って、昨日のうちに伝えた。間違いない。
わたしの兄、赤城倫太郎(あかぎりんたろう)はちょっと……いや、かなり面倒な人物なのだ。
いわゆる……シスコン。それも自他ともに認めているのだからますます厄介なのである。
ことの始まりはわたしが三歳のとき。
わたしのお守りをしていた八歳年上の倫太郎少年が目を離したすきに、怪我をしてしまった。
怪我の程度は大したことはなく、今となっては記憶も傷も残っていない。
けれど兄はそのことに必要以上に責任を感じてしまい、それからというもの元々大切にしていた妹を、輪を掛けて大切にするようになった。
そしてそれは父親の死後ますます顕著になり、そんじょそこらの頑固おやじよりもよほど手強い……はた迷惑な人物になってしまったのだ。
深いため息をついたわたしに、兄が仏頂面のまま反論する。