【最愛婚シリーズ】俺に堕ちろ~俺様社長の極甘な溺愛包囲網
「さっき……ずいぶん男馴れしてる発言してたけど、みかけによらないんだな」
「え? 何のこと……あぁ」
『男のひとってこういうとき強がりますよね』という発言のことを言っているの?
「あれは、兄のことです。言ってしまえば、兄以外の男の人のことはよくわかりません」
「はぁ? 兄貴かよ。でも、まぁ。安心した」
何に安心したのか? 確認する前に皆川くんが歩きだしてしまったので、深く尋ねることはできなかった。
非常口から廊下に戻った瞬間「ありがとう。楽になった」とお礼を言われて、
おせっかいと言われてもやっぱり彼の元に向かったのは正解だったと思う。
「わたし、お手洗いに行ってから戻ります」
一緒に戻ると他のメンバーにふたりっきりで外で話をしていたなんて、変な誤解を与えたらいけない。
まぁ、こんなちんちくりんなわたしとなんて、そんな噂さえ立つとは思えないけれど、念には念を入れて。
わたしはもう一度お手洗いに行き、少し時間をつぶしてから座敷に戻った。
襖を開けると会場内はさっきよりも盛り上がっていた。日頃のストレスを騒いで解消するかのようだ。
「おい、皆川! これ飲んでみろよ」
完全に出来上がっているであろう、支店の営業の男性社員が皆川くんにビールを進めている。