【最愛婚シリーズ】俺に堕ちろ~俺様社長の極甘な溺愛包囲網
「酒だよ」
「あぁ。大丈夫こう見えても成人してるから」
「そうじゃないっ! あーもう、くそっ」
頭をかきむしり、なにやらイライラしているように見えたが、その後急に笑い出した。
「あはは! お前面白いな」
「え? なんで?」
助け船をだしたつもりが、面白いと言われてしまった。
結果的に救出はできたけれどなんだか複雑だ。
腑に落ちないという気持ちが顔に出ていだろうに、それを見て彼はまたもや笑い始めた。
まわりのみんなもこんなふうに大きな声をあげて笑う皆川くんを見たのは初めてだったのか驚いた顔で彼を見ているなか、
とうの本人はさっきまでの風邪で辛そうな表情とは違い、満面の笑みを浮かべていた。
それから数日後の週半ばの水曜日。
わたしはいつも通りの勤務を終えて社員通用口から守衛さんに挨拶をして外に出た。
駅に向かって歩き出そうとしたところで、声をかけられる。