【最愛婚シリーズ】俺に堕ちろ~俺様社長の極甘な溺愛包囲網
「赤城」
振り返ると、皆川くんがこちらに駆け寄ってきた。
「皆川くん、今帰り? 今日は早いんだね」
営業担当は日付が変わるころまで仕事をしている人も多い。
彼だって新人とはいえ、どんどん契約をとってくるのだから仕事の量も多いはずだ。
「ああ。お前を待ってたんだ」
わたしを待っていた? 皆川くんが?
もしかして、この間のことを口留めにきたのかも。
弱った姿を見られたくなさそうだったし。
それにわたしにかばわれたとか噂になると、困るだろうし。完璧な人も大変なんだな。
「気にしないで、あの日のことは誰にも言わないから」
「は? 何のこと言ってるんだ?」
「え、違うの? わたしはてっきり……」
「別に言いたければ言ってもいいけど、今日お前を待っていたのはそんなことじゃない」
じゃあなんだろう。皆目見当もつかない。