【最愛婚シリーズ】俺に堕ちろ~俺様社長の極甘な溺愛包囲網

「赤城」

振り返ると、皆川くんがこちらに駆け寄ってきた。

「皆川くん、今帰り? 今日は早いんだね」

営業担当は日付が変わるころまで仕事をしている人も多い。

彼だって新人とはいえ、どんどん契約をとってくるのだから仕事の量も多いはずだ。

「ああ。お前を待ってたんだ」

わたしを待っていた? 皆川くんが?

もしかして、この間のことを口留めにきたのかも。

弱った姿を見られたくなさそうだったし。

それにわたしにかばわれたとか噂になると、困るだろうし。完璧な人も大変なんだな。

「気にしないで、あの日のことは誰にも言わないから」

「は? 何のこと言ってるんだ?」

「え、違うの? わたしはてっきり……」

「別に言いたければ言ってもいいけど、今日お前を待っていたのはそんなことじゃない」

じゃあなんだろう。皆目見当もつかない。
< 30 / 130 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop