【最愛婚シリーズ】俺に堕ちろ~俺様社長の極甘な溺愛包囲網

「飲みに行かないか?」

「え? どうして?」

咄嗟に出た言葉に、皆川くんは不満そうだ。

「理由なんているのか? 俺が一緒に飲みたいと思ったから誘ったんだけど」

だからどうして一緒に飲みたいと思ったのか、そこを知りたいんだけど。

返事をしないわたしに、彼はぶっきらぼうに聞いてきた。

「嫌なのか、俺と飲みに行くのか?」

「え、いやそういうんじゃなくて。……お酒大丈夫なの?」

「は? お前に心配されるほど弱くない。それより、行くの行かないの?」

答えを急かされる。

「行かない」

「は? なんで?」

しまった言い方を間違えた。

皆川くんは不満を隠そうともせずに、軽くこちらをにらんでいる。こわい。

「いや、あの……ちが……〝行かない〟じゃなくて〝行けない〟んです」

「だから、それがどう違うって言うんだよ。行かないことに変わりはないだろう」

明らかに不満を募らせている。

だけど〝行かない〟と〝行けない〟じゃずいぶん差があると思うんだけどな。

「行きたくても行けないんです。実はうち、兄が厳しくて。

当日急に決まった飲み会とかは許してくれなくて」

「はぁ? 成人して働いているのにか?」
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