【最愛婚シリーズ】俺に堕ちろ~俺様社長の極甘な溺愛包囲網
「あれって、皆川くんじゃないの? この間の飲み会に現れたって言ってたの本当だったんだ、もしかして――」
痛くもない(わけれもないけれど)腹を探られるのはごめんだと思い、尾関さんの会話を遮っ
た。
「六十一番のお客様、二番窓口へどうぞ」
駿也がたとえここに現れたとしても、わたしには関係のないことだ。
これ以上は気持ちをかき乱されたくない。
呼び出したお客様が椅子に座るときには、もう駿也の姿は店頭にはなかった。
ほっとしたわたしは、さっき見せた動揺などなかったかのように、いつも通りの仕事をこなしていった。
そうこうしているうちに市場の取引が終わり、最後のお客様を送り出す。
店頭の片付けをしてデスクに戻ったわたしは、各営業から回ってきた事務仕事をこなしていく。