【最愛婚シリーズ】俺に堕ちろ~俺様社長の極甘な溺愛包囲網

***
ぐいっと手を引かれて、我に返る。

「やり直そうなんて言わない。俺はもう一度お前を手に入れる。最初からもう一度、俺に惚れさせてみせる」

突き刺さるような眼差し、掴まれた腕の強さ。

彼が真剣に話をしているのが伝わってくる。

「確かに俺は皆川の息子だ。ややこしい家だってことは嫌ってほどわかっている。だけど、俺だって好きであの家に生まれたわけじゃない。

ずっと父親の秘書に政界入りをしつこく迫られていた。四年前の俺と歩いていた女は親父の第二秘書だ。ちなみにお前に会いに行ったメガネの男が第一秘書な」

悔しさは今でも変らないようで、彼の表情からそれがうかがえた。

「あのころの俺は、親父たちに立ち向かうほどの力がなかった。

だから約束させた。五年で親父を納得させる男になったら、俺を自由にしてくれって。

四年間死に物狂いで頑張った。それで、親父を納得させた。俺が親父の跡を継ぐことはない。おれは自由になった」

「納得させるって、会社を経営しているってこと?」

「まぁそれも一部だな。一番は親父の政治資金を一年で倍に増やした。政治で大事な資金調達を担うことで、俺の価値を見いだしたんだろうな」
< 70 / 130 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop