【最愛婚シリーズ】俺に堕ちろ~俺様社長の極甘な溺愛包囲網
「しゅん――皆川さん、いかがなさいましたか? 今日は打ち合わせの日じゃなかったはずですが」

できるだけビジネスライクに接する。

そんなわたしを面白がるように駿也が顔をのぞき込んできた。

「ん? 今日は仕事じゃないから。ひよりの顔見に来ただけ」

「な、何言って。……コホン。お忙しいと伺っていたのですが、そうでもないのですか?」

イヤミ混じりの言葉にも駿也は動じない。

「そうだな。優先順位ってやつ? 俺にとってはひよりが何よりも優先すべきことだって、わかってる?」

「……っ」

こんな白昼堂々、なんという殺し文句を。

おかげでわたしの顔は鏡を見なくてもわかるくらい、熱をもって赤くなっている。

「今から、昼飯だろ? 行くぞ」

「え……ちょっと待ってよ」

「そろそろ抵抗しても無駄だって気がつけ」

たしかにそうだ。勝てた試しなど一度も無い。

結局おとなしくついて行くことにしたわたしに、駿也は笑顔を浮かべた。

「そうやって素直になって、早く俺のところに落ちてこい」

「それとこれとは、別問題」

「そうか、手厳しいな。まあ、落としがいがあるけどな」

そんな会話をしながら、ランチに向かった。

そして悔しいことに食事も美味しく、そして楽しかった。

おかげでその日の午後はいつもの倍ぐらいの仕事ができたのではないかと思う。

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