【最愛婚シリーズ】俺に堕ちろ~俺様社長の極甘な溺愛包囲網

「たしかに、わたしは彼のなんの役にもたたないし、足かせって言われてもしかたがないのかもしれません。

でも、彼のしてきたことを〝無駄な苦労〟なんて言わないでください」

「はっ……いったい何言って――」

わたしはいくらバカにされてもいい、でもあんな立派な駿也の姿を見た後、こんなふうに侮辱されるのは、どうしても我慢出来なかった。

「彼の今の姿をちゃんと見てください。そうすれば、無駄なんて言葉絶対出てこないはずです!」

いつしか拳を握りしめて、声を上げていた。

そのとき初めて高山さんの後ろから歩いてくる、駿也の姿が目に入った。

夢中になっていて、彼がホールに入ってきたことにさえ気がつかなかったみたいだ。

「あ……」

口元に手を当てて、自分の言った言葉を思い出す。

あれを全部本人に聞かれていたというのか。恥ずかしすぎて消えてしまいたいっ。

次の瞬間走り出したわたしの手を駿也が掴んだ。

「逃げるな。いいからここにいろ」

無言でうなずいた。彼の顔を見ることなんて到底出来ない。
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