【最愛婚シリーズ】俺に堕ちろ～俺様社長の極甘な溺愛包囲網
「マジっすか？　じゃあ俺本気になってもいいですか？」

酔っているのか軽いノリの発言に、まわりのメンバーも「ヒュー」なんて言ってはやし立てる。

「何言ってるの？　わたし年上だよ？」

「全然オッケーです。むしろウェルカムです」

やんわりと拒否したことに気づいて欲しい。

けれどアルコールでご機嫌になった彼はわたしの様子などまったく気にしていないようだ。

「それにわたし、社内恋愛はちょっと……ね」

お断りの常套句で逃げようと言った言葉を誰かが拾い上げる。

「それってもしかして、あの噂のせいですか？」

……え？

途端に固まってしまったわたしに周りの誰も気がつかない。

「何なに？　なんの話？」

噂話に興味を持ってしまった前野くんが深く追及を始めた。

「たしか入社してすぐに同期の人とつき合って、振られちゃったって話――」

どこにでも噂話の好きな人はいるものだ。

だからそんな誰もが経験したことのあるような取るに足らない失恋の話、笑って話をすればいい。
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