【最愛婚シリーズ】俺に堕ちろ~俺様社長の極甘な溺愛包囲網
高山さん、きっと駿也のことが好きだったんだろうな。

同じ男性を好きになったから余計にわかる。

だからと言って、彼女のやり方が正しいとは決して思わないけれど。

わたしは駿也に手を引かれるままホールを後にした。

無言でエレベーターを降ろされた階は、ロッカールームのあるフロアで荷物を取ってくるように言われた。

駿也にとっては古巣にあたる場所だから何もかも把握しているな……なんてどうでもいいことを思いながら、それを彼から逃げられない口実のように自分に言い聞かせていた。

エレベーターの前で待つ彼を社内の人間がチラチラ見ていた。

しかし近づけない雰囲気を醸し出していたせいか、誰も話しかけないでいた。

「行くぞ」

「あ、でも……帰るってまだ言ってない」

「部長に伝えてある。とにかく、俺から逃げるな」

そんなに真剣な顔されると、逆らえない。

強引な中にもどこか彼の〝願い〟のようなものを感じて、わたしは素直に彼に応じた。
< 81 / 130 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop