【最愛婚シリーズ】俺に堕ちろ~俺様社長の極甘な溺愛包囲網
振り向くと両手にマグカップを持った駿也が立っていて、顎でソファに座るように促された。
グレーの布張りのソファに座ると、駿也がマグカップを差し出してくれる。
それを受け取ると、彼もわたしの隣に座った。
「いただきます」
一口飲む。おいしい。
「深入りのコーヒーに、ミルクたっぷり。だろ?」
「覚えていたの?」
わたしのコーヒーの好みだ。当時ずいぶんお子ちゃまだってからかわれた。
「ああ。おかげで俺も朝は同じ飲み方。日中はブラックだけどな」
柔らかい笑顔を浮かべる駿也に、胸がキュンとする。
だまったままコーヒーを飲んだ。じんわりと胸にしみるような特別な味がした。
「毎朝、コーヒーを飲みながらお前のことを思い出してた」
「うん」
「そうやって過ごしていた」
この四年間、彼の心のなかに自分がずっといたのだ。わたしと同じように。
手に持っていた本はすごく分厚くなっている。間に何かを挟んでいるようだった。
「これ、中見てもいい?」
「ああ。お前のだからな」
開くとそこには、封筒入りの手紙が入っていた。
宛名にはわたしの名前や住所が書かれている。