【最愛婚シリーズ】俺に堕ちろ~俺様社長の極甘な溺愛包囲網
駅前からずっと続くお土産物屋さんを覗き、はしゃぎながら歩く。

途中で美味しそうなものがたちならび、ついつい足を止めてしまう。

「あ、アレも美味しそう……」

目の前には揚げたてのコロッケ。

しかしわたしの手にはすでに食べかけのソフトクリームが握られている。

「食うのか? 待ってろ」

「え、でも……」

わたしの返事を待たずに、駿也はさっさと買いに行ってしまった。

さっきから一時が万事そうだ。わたしが何かに目を留めるとすかさず支払いに走る。

このままでは夕飯が食べられなくなってしまう。

コロッケの列に並ぶ駿也はなんだかその場所が似つかわしくなくて、浮いている感じがした。

今日の彼もすこぶるかっこよかった。

白いTシャツに薄手のネイビーのジャケット。細身のデニムにスエードの靴。

ありふれたファッションなのに、あんなにかっこよく着こなしている。

その証拠に、さっきから周りの女性たちの視線を集めていた。

当の本人はいつものことだろうから、まったく気にもしていないけれど。

隣にいるわたしは、身の置き場がないというか、なんというか……。

「ほら、食えよ。そっち貸して」

わたしにコロッケを差し出し、手に持っていたソフトクリームを代わりに持っていく。

それをペロリとなめながら歩き出しだしたから、わたしもあわてて追いかけた。
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