【最愛婚シリーズ】俺に堕ちろ~俺様社長の極甘な溺愛包囲網
「どうした急に? 別に俺がやりたいからやってるだけ。お前は素直に甘えてればいい。

それに俺がやりたくないことは、絶対にやらないの知ってるだろ」

「まあ、そうだけど」

はっきりとそう言われても、大事にされすぎている気がしてしまう。

「四年間ふたりでできなかったこと、取り戻したい。お前をうんと大事にしたい」

「……っ、駿也」

甘い言葉に胸がキュッとなる。この人は、何回好きにさせるつもりだろう。

もしかしたら、一生ずーっと好きが増していくのかな。

隣を歩く駿也を見てそんなことを考えていたら……。

「もし気が引けるっていうなら、お礼をしてくれてもいいんだぞ。それこそ朝まで」

意味ありげな視線と言葉を向けられて、またしても顔が赤くなる。

隣でクスクス笑い始めた駿也の手から抜け出て、振り返る。

「だったら、今日は精一杯お礼をしようかな。駿也が望むままに」

いたずらっぽく肩をすくめると、彼が一瞬驚いたような顔をして目を細めた。

「いつからそんな、かわいいこと言うようになったんだ。だったら、ほらさっさと旅館に行くぞ」

「えっ……だって、まだ色々見たいところがあるし、馬車にも乗りた――」

「全部明日! あんなこと言われて、夜まで待てるか」

「ちょっと、駿也?」

大股でわたしに近付いた駿也はわたしの手を掴むと、引きずるようにして歩き出した。

「こんなに可愛くて、よく四年間も無事でいられたな。

変な手垢がついてないか、今日はすみずみまで調べてやるから、覚悟しておけよ」

「え~、ちょっと待っててば」

なんとかとどまろうとするわたしなどお構いなしに、駿也は宣言通りわたしを旅館へと連れ去った。

< 92 / 130 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop