【最愛婚シリーズ】俺に堕ちろ~俺様社長の極甘な溺愛包囲網
「はぁ~、うわぁ~」

さっきからこんな言葉しか出てこないほど、美しい建物に感激していた。

湯布院の駅から少し離れた場所にある今日のお宿は、一日二組限定で、源泉掛け流しつきのモダンな作りの離れ宿だった。

目の前に広がる田園風景の中で、ゆっくりと列車が走る姿は絶景だ。

さっきからわたしはウェルカムドリンクを飲みながら、ロビーの中をキョロキョロと見渡していた。

「ほら、ぼーっとしてないで行くぞ」

「うん」

立ち上がったわたしたちを、コンシェルジュが案内してくれる。

「こちらの離れは、新婚さんに人気なんですよ。お風呂もとっても気持ちがいいです。明日の朝、スベスベのお肌を実感してくださいね」

離れたところで案内してくれるのを、ウキウキして聞いていたのに――。

「風呂に入る時間あるのか? 好きなだけ抱いていいんだろ?」

小声でからかってくる駿也の脇を、肘でつついて唇を尖らせた。

「ははっ。冗談だって、半分は」

「え?」

聞き捨てならないと思い聞き返そうとしたが、部屋に到着した。
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