【最愛婚シリーズ】俺に堕ちろ~俺様社長の極甘な溺愛包囲網
「親父、待たせたな。こちら赤城ひよりさん。俺の大切な人」
「はじめまして。赤城ひよりです。よろしくお願いします」
きっちりと頭を下げたわたしに、皆川議員は座るように促した。
「そんな、就職試験の採用面接みたいに緊張しないで。楽しく食事をしましょう」
「はい。ありがとうございます」
楽しくと言われても、緊張してそれどころではない。
まさかこんな形で彼のお父様とお会いすることになるなんて、思ってもいなかったからだ。
それに相手は与党第一党の大物代議士となれば緊張せずにいられるわけがない。
ガチガチのまま座っているわたしを、駿也は横目で見てクスクスを笑っていた。
ワインボトルが運ばれてきて、皆川議員がテイスティングしてうなずいた。
ウェイターが皆のグラスにワインを注ぐ。
「ひよりさん……と呼びしてもいいかい?」
「……は、い」
緊張しすぎて声がかすれてしまう。
「おい、大丈夫か?」
「うん」
目の前ににあった水を、ひと口のんで落ち着けた。
そんなわたしたちの様子を、皆川議員はニコニコと笑いながら見ていた。