【最愛婚シリーズ】俺に堕ちろ~俺様社長の極甘な溺愛包囲網
「思っていたよりも、ずっとかわいらしい人だな、駿也」

「だろ?」

お世辞だとわかっているが、恥ずかしくて赤くなる顔を止められない。

「仲の良いことはいいことだ。ほら、いただこう」

皆川議員が赤ワインが入ったグラスを掲げたので、わたしも駿也も同じようにしてからひと口飲んだ。

きっと美味しいに違いないワインだったけれど、味が分からない。

こんなときじゃなければ、すごく喜んだのにな。

「ひよりさん、私は君に謝らなくてはならないことがたくさんある。ひとつずつ謝罪させてもらえればと思う」

「あの、いえ。とんでもございません!」

「いや、こういうことはちゃんとしておかないと、親しき仲にも礼儀ありというじゃないか。

わたしはひよりさんと〝親しき仲〟になりたいと思ってるんだ」

今目の前にいるのは、皆川代議士に違いないのだけれど、いつもテレビで見るような厳しい顔をしていない。

柔和な笑みは父親としての顔だろうか。

「うれしいです。ありがとうございます」

お礼を言うと、ますます笑顔になる。

そこで気がついたのだけれど、笑い顔が駿也にそっくりだ。そう思うと身近に感じた。

印象が代わり、萎縮していた体から少しずつ力が抜けた。
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