【最愛婚シリーズ】俺に堕ちろ~俺様社長の極甘な溺愛包囲網
「私が駿也を跡取りにしたいと思っていたせいで、ひよりさんにもご家族にもずいぶん秘書たちが失礼なことをしたと聞いた。本当にすまなかったね」
なんと答えるべきかわからずに、目を伏せた。
やっぱり四年前に兄にしたことは許せないから。
「こいつは私を諦めさせるために、単身でニューヨークに渡った。
ある程度のお膳立てや資金の援助を申し出たけれど、きっぱりと断られた。
駿也の今の地位は正真正銘自らの力で勝ち取ったものだよ」
「そうだったんですね」
隣を見ると、駿也が恥ずかしそうに鼻の頭をかいていた。
「あなたのおかげで、駿也は自分の道を切り開けた。お礼を言わなくてはならないね。感謝いしています」
「いえ、わたしは……何もしていませんから」
「いや……息子を忘れずにいてくれて、ありがとう。これからは、自分たちの将来は自分たちだけで決めなさい。私が口出しすることはもうないからね」
「やっと諦めたか」
駿也の言葉に、皆が声を上げて笑った。