【最愛婚シリーズ】俺に堕ちろ~俺様社長の極甘な溺愛包囲網
「ふたりとも、幸せになりなさい。まぁひとつ言うなら――」
「まだ何かあるのかよ」
げんなりした顔の駿也が、悪態をつく。
「孫の顔が早くみたい」
「うっ……ごほっ、ゴホン……」
喉の渇きを潤そうとグラスに口をつけていたわたしは、激しくむせた。
「まあ、そういうお願いなら聞かなくもないけど。な、ひより」
「ちょ、ちょっとそういうことこんな場所で言わないでよ」
にやにや笑っている駿也の膝をぽんと叩いた。
皆川代議士は柔らかな笑顔でそんなわたし達を見ていた。
「駿也とこんな時間が過ごせるなんて、思ってもみなかった。子育ては思い通りにはいかなかったけれど、これはこれでいい結果になったんだろうな」
人生を振り返るようにゆっくりとワインを傾けている。
「それもこれも、すべてひよりさんのおかげだ。これからも駿也のことをよろしく頼むよ」
「はい。一生懸命がんばります」
心を込めてそう、誓った。
隣にいる駿也に目を向けると、優しい眼差しで見つめてくれた。
こっそりとテーブルの下でつないだ手に力がこもった。