獣な彼の目覚める独占欲~エリート准教授に熱い夜を教えられました~
ムッとして言えば、彼はわざとらしく溜め息をつく。
「子供じゃないから心配なんだ」
鷹臣君と私の間に流れる微妙な空気。
「なによ、それ。訳がわかんない」
ムッとして鷹臣君から顔を背けると、晴人さんが突然大きな声を出した。
「あ~、この焼き魚なんだろう?美味いな〜」
横にいる健吾さんが冷淡に突っ込む。
「シャケですよ」
そのやり取りに思わずプッと噴き出した。
晴人さん、場の空気を変えようとワザとボケてくれたんだね。
三十分程で朝食を食べ終えると、昨日と同じバンに乗り込み、今回の発掘現場に向かった。
発掘現場は王家の谷から十五キロ程先にある岩山付近。
鷹臣君が事前に衛星写真を解析して測量も行った結果、この場所にミイラが埋まっているのはわかっているらしい。
後は掘り起こして時代やどんな人物の墓なのか調査するだけ。
「うわ~、ここで作業するんだね」
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