獣な彼の目覚める独占欲~エリート准教授に熱い夜を教えられました~
他の助手たちはすぐ近くにいるのに、彼女の姿だけが見えない。
俺は近くにいた健吾に顔を近づけ、小声で話した。
「鈴音がどこにいるか知ってるか?」
「いいえ。言われてみれば、ここ三十分ほど鈴音さんの姿を見ていませんね」
健吾が顎に指を当てながら答える。
テントの方にいるのだろうか?
鈴音は初めての参加だし、姿が見えないと気になる。
危険な場所に行って怪我でもしていたら……。
「健吾、ちょっとファイサルの相手を頼む」
彼の返事も聞かずに、ファイサルに声をかけた。
「俺はちょっと器材を確認してくる。彼が現場の説明するから」
ポンと健吾の肩を叩いて、横穴の出入り口に向かう。
すると、途中作業員と話をしている晴人に出くわした。
「あれっ、先生、ファイサル王子の相手をしなくていいんですか?」
「それは健吾に任せた。鈴音を見なかった?」
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