獣な彼の目覚める独占欲~エリート准教授に熱い夜を教えられました~
「……大したことないよ」
悟から目を逸らしてごまかすが、弟は意地悪く目を光らせた。
「大したことされたんだ?……そろそろ鷹臣さんも本気で取りにきたのかな」
「鷹臣君がなに?」
言葉の意味がわからず、悟をじっと見据えて聞けば、「いや、こっちの話」と小さく笑いながら頭を振った。
このどこか楽しげな顔。
……なんか隠してるなあ。
追及しようとしたら、不意に悟が腕時計に目を向けて慌てた顔をした。
「おっ、もうこんな時間⁉︎俺行くわ」
玄関のドアを開けて出て行こうとしたが、悟は足を止めて私を振り返る。
「あっ、姉ちゃん、俺からの忠告。覚悟しといた方がいいぞ」
意味深な言葉を投げて、悟は出て行った。
バタンと締まるドアに向かって首を傾げながら呟く。
「……『覚悟』ってなんの覚悟よ」
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