獣な彼の目覚める独占欲~エリート准教授に熱い夜を教えられました~

2、彼のライバルと元カノ

「おはようございます!」
ドアを開けて研究室の面々に挨拶する。
一之瀬家の家事を済ませた私は、電車を乗り継いで大学の研究室にやって来た。
手前には六人がけの椅子とテーブルがあり、そこで鷹臣君の部下が仕事をしている。
ちなみに一番奥が彼のデスクなのだが、今は席を外しているようだった。
そのことに少しホッとする。
今朝鷹臣君に鼻を噛まれた私としては、どういう顔して会っていいかわからなかったから。
「もう十二時近いですよ。鈴音さん」
手前にいた健吾さんが見ていた文献から顔を上げてニコッと微笑む。
健吾さん……渡辺健吾さんは、助教で鷹臣君の一番弟子。
ふたりは高校の先輩と後輩という間柄だ。
健吾さんはイケメンメガネ男子。色白でサラサラした黒髪が印象的。
クールで知的で人を寄せ付けない雰囲気があるけど、女の子には優しい。
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