獣な彼の目覚める独占欲~エリート准教授に熱い夜を教えられました~
その刹那、ドアがガチャッと開いて、食事に出たはずの鷹臣君が戻って来た。
私達の方を一目見るなり、彼は「晴人、手」と穏やかな顔で注意する。
なのに、晴人さんはパッと私の手を離すと、ブルブル震えながら謝った。
「すみません!」
この怯えよう。一体どうしたの?
鷹臣君は優しく注意したのに。
『この世界から抹殺されますよ』という健吾さんの発言といい、なにを恐れているのか。
私がセクハラとか言って騒ぐと思ってる?
そのことを不思議に思いつつも、この微妙な空気を変えたくて鷹臣君に声をかけた。
「鷹臣君はNASAの美女とお昼食べに行ったんじゃないの?」
「いや。のんびりランチに行ってる暇はないからね。ちょっとカフェで仕事の話しただけ。このサンドイッチと唐揚げ、鈴音が作ったの?」
にこやかに答えて、彼は私の向かいの席に腰を下ろす。
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