獣な彼の目覚める独占欲~エリート准教授に熱い夜を教えられました~
嬉しくて頭を撫でてやれば、鈴音は満面の笑みを浮かべてキャッキャと喜んだ。
母親にその事を話すと、楽しげに頬を緩ませた。
『鷹臣は鈴音ちゃんの二番目のパパよね』
俺にいつも抱っこされていた赤ん坊は、そのうち大きくなると口が達者になり、俺の後をついて回るようになった。
『鷹臣君、私が大きくなったらお婿さんにしてあげる』
ある日、鈴音がにっこり笑いながらそう言った。
俺に向けられるその汚れのない真っ直ぐな瞳。
幼稚園児に逆プロポーズされ、なにも答えられないくらい驚いたのを覚えている。
きっと、もう彼女はその日のことは忘れてしまっただろう。
今思い返せば、俺の大事な思い出だ。
いや……彼女が赤ちゃんの頃から一緒に過ごしてきた日々は、どれもかけがえのないもの。
イギリス留学で離れていた時期もあったけど、これからはずっとそばにいるよ。

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