獣な彼の目覚める独占欲～エリート准教授に熱い夜を教えられました～

「迷子……」
健吾さんの言葉に絶句する。
私ってそんな危なっかしく見えるのだろうか？
家でも大学でもしっかり頑張っているんだけどな。
「私は鷹臣君の方が心配なんだけどな」
家ではいつも引きこもりだし。
ボソッとぼやけば、鷹臣君はにっこり微笑んだ。
「俺の心配してくれるのは鈴音くらいだよ」
それからタクシーに乗ってホテルまで移動すると、ナイル川が見えてきた。
「うわ～、これがナイル川なんだ。日本の川とは違うね」
岩に囲まれ荒涼としているかと思えば、両岸には油椰子の木が植えてあったりして緑豊かで、心が和む。
「ホテルの部屋からもナイル川が見られますよ」
健吾さんの言葉に笑顔になった。
ホテルからも見られるなんて素敵。
「そうなんだ。前発掘調査に来た時も同じホテルだったの？」
「はい」
健吾さんがニコッと頷くと、晴人さんもその話題に参加する。