いつかのラブレターを、きみにもう一度
央寺くんの条件
翌日の日曜日、私はお母さんに乾電池を買ってきてと頼まれていたので、バイト前、バスから降りてすぐのコンビニに寄った。

「ねぇ、ねぇ、マジなんだって。このお守りの威力」
「えー、ホントに願いごと叶ったの?」
「叶った叶った! それがさー……」

 入口ですれ違った女の子ふたりが、楽しそうに話しながら出ていく。店内に入ってすぐ右に曲がると、そのガチャガチャはあった。やっぱり人気あるんだなと思いながら、乾電池を探す。

 レジで会計を終えた私は、店を出る間際、またそのガチャガチャを見下ろして立ち止まった。補充されたばかりらしく、たくさん入っている。殿村くんも央寺くんも、これを集めているみんな、何かしらの願いごとがあって買っているんだよな。

 願いごと……か。私にとっての願いごとってなんだろう。

少し考えたところでこれといったことも思い浮かばず、私は何げなくパーカーのポケットに手を入れた。すると、さっきレジで受け取ったおつりが指に当たる。取り出してみると、ガチャガチャを三回ひくことができるくらいの小銭が入っていた。
< 115 / 128 >

この作品をシェア

pagetop