いつかのラブレターを、きみにもう一度




 レンタクルに着くと、私より先に明日美さんがレジカウンターに入っていた。

「お……おはようございます」
「おはよ」

 欠伸をしつつも、慣れた手つきで開店前の作業を進める明日美さん。さすが三年目という貫禄だ。

 いつも央寺くんとばかりだったので多少緊張があるも、足を引っ張らないように私も棚を拭きはじめる。明日美さんに見られていると思うと、ちょっと動きがぎこちなくなった。

「姫野さんさ」

 冷ややかに聞こえる明日美さんの声に、私は肩を上げて、
「はい」
 と返事をする。

「眼鏡じゃなかったっけ?」
「……はい」

 昨日、ロッカールームで話した時も眼鏡してなかったんだけどな。そんなことは言えずに、「コンタクトにしたので」と説明する。
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