いつかのラブレターを、きみにもう一度
「とりあえず」

 どもっている私をまたじっと見た央寺くんは、両膝に手を当てて「っしょ」と言って立ち上がった。今まで見下ろしていた体がニュッと伸びて立ちはだかり、私はドキリとした。

「今日からちょっとずつ、レジの練習とか返却作業とかしてもらうから。昨日見学してたし、なんとなくわかってると思うけど」
「……はい」

 レジ前に立たされ、背後から央寺くんがひとつひとつ説明していく。この場合は、この場合は、といくつものパターンを教えてくれるものの、私はその距離の近さが気になってどんどん赤面していき、俯きながら自分の横髪を耳にかけ、何度も眼鏡を整えた。

 変わらない央寺くんの声が、中学のあの頃の気持ちを思い出させる。苦い過去なのに、ドキドキしてしまう自分が嫌だ。

「あ……ま、待って」
「え?」
「メ、メモするから……」
「あぁー……」

 そこで初めて私の顔を見たらしい央寺くんは、
「顔、赤……」
 と、声に出した。
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