いつかのラブレターを、きみにもう一度
抑揚のない声が、興味も関心もないように聞こえる。まるで、中三の時のあの出来事なんてなかったかのように話すから、あぁ、この人にとって、あれは本当にどうでもいい出来事だったんだな、と再認識させられる。私はこんなに……。

「……っ」

 こんなに引きずっているのに……。

「ごめん。無神経だった?」

 黙ったままでいると、私が怖がっていると思ったのか、
「もう聞かないから、涙目はやめて。もうすぐ開店して、お客さん来るから」
 と、顔を背けられる。

 嫌だな。自分の気持ちを言うことができない自分も、デリカシーのない央寺くんも。

 私は、震える唇をきゅっと結び、メモの続きを書くことだけを考えた。
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