いつかのラブレターを、きみにもう一度
「問題、大ありだわ」

 髪をうしろでひとつに結び、シャツのボタンを一番上まできっちりと留め、きっぱりとした口調でそうで言うのは、高校に入ってからできた友達の頼子。幸い二年に上がってもクラスは一緒だったから、このお昼の休憩時間はいつも彼女とふたりで、教室でお弁当を食べている。

「な……何が?」
「和奈の引っこみ思案よ。消極的すぎる」

 身長は私より十センチも高くて大人びて見える頼子は、生徒会副会長でもあり、人前での発言も堂々たるもの。友達でありながら、私とは真逆の性格だ。一年の時に彼女のほうから一緒にお弁当食べようと誘われなければ、きっと関わりはなかっただろう。

 なかなか心が開けなくて他人行儀だった私に、頼子は毎日のように話しかけてくれた。そのおかげもあって、今では学校で唯一、気後れせずに話ができる存在だ。

「だって、ほら、性格ってなかなか変えられないし……」
「そんなのは逃げだわ。社会に出てからはどうするの? こういう性格ですのでうまくお話できません、なんて言って通用するとでも?」

 頼子はいつも正論だ。まっすぐで真面目で嘘がない彼女に、私はよくダメ出しをされている。
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