いつかのラブレターを、きみにもう一度
「まぁ、とにもかくにも、和奈にとってはいいことだと思うわ。バイトをきっかけに社会勉強もできて、人と関わる練習にもなって。レジで人前に立つのも、いい経験だし」
「……嫌だよ。私は、家族と頼子がいればいいもん。そもそも、表に立つバイトだってわかってたら、申しこまなかったのに……」

「頼子―、会長が呼んでるよー」

 ふいに、廊下の方から女子に呼ばれた頼子。

「はいはーい。ちょっと行ってくるね」
 と言って立ち上がり、廊下へと向かった。

 ひとりになった私は、生徒会長と話している頼子を眺める。頼子がいないと私は話し相手がいないので、急に雨音と教室内の雑談の声や笑い声が大きく耳に響きはじめた。私は食べ終えた後の弁当箱を、バッグに片付ける。

 しばらくした後、話が終わったのか手を振って会長と別れ、こちらに戻ってくるも、途中でクラスメイトたちに声をかけられ、笑い合っている頼子。その中には、殿村くんも混じっている。
< 40 / 128 >

この作品をシェア

pagetop