いつかのラブレターを、きみにもう一度
「今町は俺をバイキン扱いしすぎなんだよなぁ。あ、そうそう、で、和奈ちゃん。返し忘れてたんだけど、ソーイングセットありがと」
「あ……あぁ」

 そういえば殿村くんに貸していた。ソーイングセットを受け取り、「どういたしまして」と小声で返す。自然に和奈ちゃん呼びされたことに落ち着かず、また赤くなってしまった頬を隠すように、俯きながらそれをバッグに片付けた。

「つーかさ、この前も思ったんだけど」

 そう言って突然、殿村くんは私の眼鏡を取り、
「やっぱり。外したほうが可愛いよ、和奈ちゃん」
 と微笑む。

「あ……えっ?」
「ちょっと、殿村くん」

 頼子が眼鏡を取り返そうとしてくれている中、私は急にピントの合わなくなった視界に戸惑う。

「小さくておかっぱだからただでさえ幼いのに、眼鏡だと野暮ったくてもったいないよ」

 ぼやけた視界に唯一、鮮明に現れた殿村くん。至近距離でピントの合った彼の笑顔に、私は口をアワアワさせながら顔を両腕で隠す。
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