恋愛の仕方おしえます。

---遡ること、半年前。


俺は初めて"藍川伊織"を知った。


***


----…

「社長の噂、最近どんどん加熱していってますよね。知ってますか?
女性社員達の間では裏で隠し子までいるとか言われてますよ。」

『くくく』なんて
笑いながら安斎が言うから
俺は更にそれを嘲笑ってやった。


「アホか。モテねーからって僻むなバカ。
んなもんとっくに気付いてるんだよ。
いいから早く仕事しろ。」


「あ、でもうちの社で噂されてる人物
もう一人います。」


「…あ?」


「釣れないダメガネ。
…って、知ってます?」


「知らねぇよ。興味ないし。」


「なんか、広報部の"藍川さん"っていう若い女の子みたいなんですけどね〜。
その子…正反対なんですよ、社長と。
ガッチガチにガードが高いらしくて。
いつも定時になると直帰しちゃうらしいです。」


「だから、他人には興味ねーっつってんだよ。
お前はなんでそうミーハーなんだ?
それに定時までに仕事を終えられるってことは
それだけ有能な社員って事だろ。」


「他人って言っても我が社の社員ですから。
少しは興味を持ってあげてくださいよ。
ハァ…、だから性格に難があるだのって
言われるんですよー?」


「関係ねぇだろ。お前、減給決定な。」


「えー!なんでですかー!」


「仕事中なのに私語が多すぎる。」


「そんなぁ!酷いですよ社長ぉ〜。」


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