恋愛の仕方おしえます。
ー 9月30日 ー
前日とは打って変わって、
藍川はダメなゲスメガネと化していた。
朝からバタバタしていた事もあり、
疲れているのかもしれないが、
昼を過ぎてからの藍川は
本当にぼんやりしていた。
こちらが何を話かけても
曖昧な返事。
心ここに在らずといった感じで
ぜんぜん仕事に集中できていない。
気が付いてはいたけど、
そんな奴に構ってやれるほどの暇はなかった。
でも、20時を過ぎても帰らずにいる藍川に
いい加減口を出す事にした。
「藍川、もう勤務時間を過ぎてる。」
「………。」
「聞いてる?」
「……………。」
「おい、ゲスメガネ。
さっきから話聞いてんのか?」
「えっ!!!?あ、はい!すみません…。」
「もうすぐ20時半だぞ。
今日はもう帰っていい。」
「あれ…、もうですか?」
「なんだよ、その反応は。
もっと残業したいわけ?」
「いえっ、それは!でも…桐山社長は?」
「俺はまだまだ帰れない。
たぶん23時までかかる。」
「じゃ、じゃあ、私も残ります。」
「帰れよ。社員はとっくに帰宅時間だ。
社長命令。」
「…わかりました。
それじゃあ…お先に失礼します。」
「あ、待って。これ忘れモノ。」
そう言って、藍川のおでこにペタっと
付箋を貼りつけた。
「明日はぼけーっとすんじゃねぇぞ?」
…---。