恋愛の仕方おしえます。
社長の言うとおり、
本社に戻れば大量の書類整理が
私を待ち受けていた。
それだけじゃない。
今日挨拶回りへ行けなかった他社へ
300枚以上の葉書を作ったり、
社長に言われたとおりに、
コピー、灰皿、コーヒーなんでも用意し、
アポ取りや、パソコン業務、明日のスケジュール確認…etc.
秘書のお仕事は初日から、大忙しだった。
夜20時を過ぎた頃には
本当にクタクタで…。
そして、それは社長も同じ…。
「っ…ようやく決算終わった〜〜〜!」
大量の書類を前に、
そう言ってすぐ、
広い社長室に電話が鳴り響く。
社長はその電話を取り、
また対応している…。
この部屋に電話が鳴るのは
もう何度目だろうか。
本当に鳴りっぱなしで、
社長はそれでも電話をしながら
手も動かし、ひたすら仕事していた。
社長業が、
これほど大変だとは知らなかったな…。
とりあえず一通りの仕事を終えた私が
電話を続ける社長を見つめていると、
ふと目があった。
桐山社長の鋭い視線に耐えられず
…私は自分のデスクに視線を落とす。
すると、桐山社長は
私のデスクにペタリと付箋を貼りつけた。
そこには、
"今日はよくやった。帰っていいぞ。"
と、それだけ書いてある…。
再び桐山社長へ目線を向けると、
今度は電話をしながら
パソコンとにらめっこしていた。
なので私も付箋に
"お疲れ様でした。それではお先に失礼します。"
と書いて、
社長のデスクに貼り付ける。
社長が一瞬だけ、指で丸を作ったので
それを合図に私は社長室を後にした---。