恋愛の仕方おしえます。


「こちらのお席でございます。」

案内された窓際の席に、桐山社長は座っていた。


彼は真っ直ぐこちらに視線を向けて、
「遅ぇ。」
と一言、不満を漏らす。


「それはこっちの台詞ですよ。
何も言わずに美容室で置いてけぼりにするなんて、
酷いじゃないですか…。」


言いながら椅子を引くと、
そこには TIFFANY&CO. と印字のある小さなアクセサリーケースが一つ…。

「勘違いすんなよ。
そいつは明日の成功報酬の先払いだ。」


勘違いなんて…、するわけないし。

手に取って開けてみると
ホワイトゴールドのチェーンに
一粒のダイアモンドが煌めいている。


「綺麗…。
ありがとうございます。」
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