恋愛の仕方おしえます。

「あ、そういえばカードお返しします。
ありがとうございました。」

「おう。
それじゃ、藍川が女になったのを祝って乾杯しよう。ほら、乾杯。」

また言ってるし。
どういう意味よ…。

「…乾杯。」

---カチン。

綺麗な夜景が、シャンパングラスに映ってる。
男の人と2人でこんなところへ来たのは初めてだからか、私はガチガチに緊張していた。


グビグビとお酒を飲み干すと、
ぷはっと、息継ぎが漏れた。

「おい、なんだよその飲みっぷりは。
お前はどこぞのオヤジか?」


たったさっき、
私が女になったともち上げておきながら、
今度はそんな言われようだ。

桐山社長は意地悪にも程がある。

「ちょっと…聞いてもいいですか?」

お酒が回るのが早い私は、
このままだと思った事全てを吐き出しそうな勢いだった。

「何でも聞けよ。」

それでも社長は微動打もせず、
それを受け入れる。

「なぜ私をこんな高級レストランに誘ったんですか?
私なんかが似合うお店じゃないし、今私…浮きまくってます。」

「藍川秘書、これも良い社会経験ですよ。」

「お昼の仕返しのつもりですか?
あまりふざけないで下さい。
こちらは真剣に聞いているんですから。」

「明日の予行練習だよ。
お前がリラックスしてパーティーに参加できるように。
それと、秘書とは良好な関係を築いておきたいからな。」

「…………っ……なるほど。」


桐山社長から急に真っ当な答えが返ってきてしまったので、
私はそれ以上何も言えなくなってしまった…。

ここからは続々と届くお料理や、
お酒を味わいながら
ゆっくりと話していこうと思う。

< 59 / 164 >

この作品をシェア

pagetop