恋愛の仕方おしえます。

社長と私を乗せて、
動き出すエレベーター。


そのあとも桐山社長は、
信じられないことに
尻餅ついたままの私を見もせずに
電話の相手と淡々と喋りつづけていた。


「---で、どうして連絡が取れないの?
帰国時期が早まったのは、取引先との商談をするためなんだ。
安斎がいないと困る。」

---

「はぁ!?それじゃ、話にならない。
言っとくけど仕事は山程あるんだぞ?」

---

「…あっそ。
分かった、もういい。
あとはこっちでどうにかする。」

---

「いや、ねぇけど。
どうにかするしかねぇだろ?
手の空いてそうな人材で適当に繋いどくから。」

---

「分かった。
それじゃ、また二時間後に掛け直す。」



…ようやく電話が終わったかと思うと、
タイミングよく1階につき、
再びエレベーターの扉が開く。


私は何事もなかったかのように
エレベーターを出ようとした、
その瞬間だった…。


---ガン!


なぜか社長の長い足で
通せんぼされてしまった。


訳がわからず
恐る恐る顔を見合わせてみる。


すると
社長はニッコリと不気味な笑顔で
閉まるボタンを押した---。


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