満月は密やかに

「夜神も参加しに行けば良かったじゃない。どうせまた抗争中なんでしょ。」

茶色い髪の毛は少し水気を帯びているようで、それが妙に雨に濡れた子犬のように見えて笑えた。

「大丈夫だ、俺は満月を傷つけないよ。」

引き寄せられた腕の中で、鳴り止まぬ心音に耳を当てた。
彼の事は信用している、でもこの先も信頼できるとは言い切れない。
だから、何にも縛られない為に…
自分の足で歩いていけるように私は着々と準備を進めている。
利用できるものは利用してやる、それがどんなに相手を傷つける事だとしても。

_
< 4 / 11 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop