君の見る空は青くない。
転校生
*side水夏理.*゚
叶くんに告白されてから、一ヶ月経った。
「おはよう、水夏理。」
「おはよう…叶くん…。」
相変わらず、叶くんにはドキドキさせられっぱなしで心臓が止まっちゃいそうになる。
「水夏理、信号赤。」
叶くんが私の手を掴む。
「…っ///。」
告白される前は、手を掴むなんてことはなかったのに…。
「青になった。渡ろう?」
叶くんが私の顔を覗き込む。
「顔、真っ赤だな。」
叶くんが意味深な笑顔で笑う。
「だって…手が、まだ。」
叶くんは私の手を掴んだまま、離そうとしない。
「いいじゃん、別に手繋いでも。水夏理のケチ。」
そういいながらも、叶くんは渋々手を離した。
本当は…まだ繋いでいて欲しかったなんて、叶くんには絶対に言えない…!
「ほ、ほら、赤になっちゃうよ?赤知らないからよくわかんないけど。」
「そーだな。」
横断歩道を渡る。
顔が、熱い…。
でも、私の前を歩いている叶くんの顔が、真っ赤に染まっていたことなんて、色彩障害がある私には、知るよしもない。
教室に入ると、なんだかクラスが騒がしい。
「なんか、騒がしいね。」
「確かに。」
叶くんと話していると、後ろから元気のいい声が聞こえて来る。
「水夏理!おはようっ!」
「優花ちゃん!おはよう。」
「水夏理、今日転校生が来るんだって!」
「それでこんなに騒がしいのか。転校生ねぇ。」
「あ、叶夜。いたのか、おはよう。」
「はよ。で、転校生ってどんな奴?」
叶くんは、もう優花ちゃんに突っ掛かることがめんどくさくなったみたいだ。
「なんか、イケメン男子らしいよ?」
「へー、叶くんライバル出現だねっ!」
「んなことねーよ。」
叶くんは学年で一番人気の男子だから、イケメン男子が来たら人気が下がるかもしれない。
キーンコーンカーンコーン…。
チャイムが鳴って、みんなが席に着く。
「まぁ、水夏理の隣の席空いてるから、転校生そこに来るかもねってこといいたかっだけ。」
「はぁっ!!!?」
「叶夜、ファイト。」
優花ちゃんが、叶くんの肩に手を置く。
「どういうこと…?」
二人がため息をつく。
「水夏理は本当に恋愛に疎いなぁ…。」
「…?…?」
…ガラガラ。
「そこ三人、席つけ。チャイム聞こえなかったのか?」