俺様系和服社長の家庭教師になりました


 「俺が経営者している冷泉グループの店は知っているな。」
 「はい。」


 冷泉グループは、全国や海外にも展開している大手企業だ。冷泉グループと聞いて、日本で知らない人はいないだろう。高級料亭や呉服屋を展開しており、日本ではかなりの数のお店がある。数年前までは、一部の人が使う超高級なお店というイメージがあった。だか、ワンランクさげてた一般人でも「1年に一度のご褒美に。」ぐらいの和食店を始めたことで、一気に知名度と利用客が増えたらようだった。それも、今の社長である色の手腕だと言われている。


 「実は、今度ギリシャに店を開こうと思っているんだ。」
 「ギリシャ、、、。」


 その言葉を聞いた瞬間、翠はドキッとして思わず、目を開いて彼を見てしまった。すると、色はすぐに気づき微笑んだ。


 「なんだ、目の色が変わったな。」
 「え、、、いえ、何でもないです。」
 「ギリシャが好きなのか?」

 
 彼に話すことでもない。そう思いながらも、「ギリシャ」と言葉を聞くとどうしても惹かれる物があるのだ。「あなたには関係ありません。」そう言ってしまえばいい。わかっていたが、彼の真剣な瞳で見られてしまうと、口が開いてしまった。


 「私の祖母がギリシャ人なんです。もう亡くなっているのですが、とても大好きでよくギリシャの話しを聞いていました。だからな、ギリシャが本店にあるこの店を選びましたし。行ってみたいという、憧れがあります。」
 「なるほど。家族では行かないのか?」
 「祖母は私が生まれる前に日本に来てましたし、裕福な家でもなくて。それに、母親は大の飛行機嫌いなので。」


 自分一人で行こうとも考えたが、初の海外旅行が一人というのも、恐くて実行できなかったのだ。

 「わかった。おまえにとってもいい話だ。」
 「、、、、。」
 「俺の家庭教師になれ。」
 「え、、、?」

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