俺様系和服社長の家庭教師になりました


 このような仕事をしていると、思いがけずに感謝をされる事が多かった。担当になったお客様に買い物でもないのに、お土産をいただいたり、「お取り寄せしてくれて、ありがとう。とても欲しかったから嬉しいわ。」と、とびきりの笑顔を貰ったり。
 

 この瞬間があるからやめられない。翠は、そう感動を噛みしめながら店内に戻った。

 すると、店長とギリシャ人のおじい様に対応していたスタッフが、迎えてくれた。
 

 「一葉さん、ありがとうございます。何語かもわからずにとても焦ってしまって、、、。」
 「一葉さんはお婆様がギリシャの方でしたよね。今回は本当に助かりました。」


 職場のスタッフまでにも褒められてしまい、休憩の時にはお菓子までいただいてしまった。

 今日はとっても素敵な日だなと思いながら、翠が微笑んで2人と会話していた時。
 翠を見つめる1つの視線に、翠も他の誰も気づくことはなかったのだった。


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